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”お客様にとって本当に良いもの” とは?

山梨県南部に位置する町 身延町。豊かな自然に恵まれた町を流れる富士川の中流に下部(しもべ)温泉郷はある。
都会の喧騒から離れ、ひっそりとした山里の温泉街は、古くから湯治場として栄え、浸って良し飲んで良しの優れた源泉の効能から名湯100選に選ばれる場所でもある。

下部温泉の中に宿屋として江戸時代から250年間も続く源泉に浸れる風呂で有名な”源泉館”がある。心と体の療養に訪れるお客様が多く、そのほとんどは”リピーター”、つまり一度訪れたら二度、三度と来たくなる温泉宿でもある。お客様は近隣県よりも東京や神奈川などの首都圏から源泉に浸ることを目的に訪れ、お風呂にゆっくりと入り、身延町に流れる時間を感じ楽しみながら、この町の特産品である曙大豆を使った豆乳鍋や湯葉料理を堪能する。

「源泉館は日帰りではなく、宿泊して頂いて心身ともにゆっくりする人向きの温泉宿。足元から湧いてくる30度前後の温度の弱アルカリ性単純泉に浸っていただき、体の芯から温まることで身心ともにリラックスして頂きたい。宿泊される間をいかにのんびり充実させてあげられるかというおもてなしを心掛けています」と源泉館の女将 依田由有子さんは話す。最も多い客層である首都圏在住の50~60代の方々が片道約3時間かけても何度も訪れたくなる”お客様の心を掴んで離さない”源泉館の魅力には、いくつかの理由がある。

まず、源泉に浸ることだけでない付加価値として、訪れるお客様の心を離さない”おかみさんの人柄、そして働く従業員の人間性の温かさ”がある。決して事務的な応対ではなく、一人ひとり違うお客様の来訪目的や特徴を把握した接客のあり方、身延町で体験されたことを踏まえて宿泊後も手書きのお便りを書き続けている。そうすることでお客様にとって、源泉館に対して自分が本当に心からゆっくりと過ごせる場所となっていく。

次にお客様同士の繋がりができること。温泉で体を癒す中で気の合うお客様同士が会話し、顔なじみになり繋がりが生まれる。身延町での観光体験や源泉の効能、体が治癒してきたことについて宿泊者同士で伝え合うことで、次第に良い関係性ができ、下部温泉 源泉館自体の価値を理解する人が増えるという好循環に繋がっていく。帰宅後に友人に話さずにいられない方の口コミ効果やむしろあまり人に紹介せずに自分だけの秘湯としている人など、惚れ込んだ人は数知れない。口コミで初めて源泉館を知った人や季節的なイベント情報は毎日更新するブログから常に確認できるようにしている点もファンづくりの大きな要素になっている。

そして、源泉館では宿泊者に向けて”ブランド大豆 曙大豆づくり”を体験型旅行として提供している。曙大豆は身延町独自の気候や自然環境、市場に出回らない稀少性の高さ、サイズ・食味・甘みが一般的な大豆と比較しても大きく異なる特徴を持つ。身延町でしか生産できない曙大豆の生育プロセスを体験できることが源泉館に宿泊されたお客様の心に刻まれていく。お客様は6月の種まきから始まり、7〜9月に苗の成長経過を把握しながら草取りをし、10月に枝豆の収穫をする。町全体をあげて実施する10月の収穫祭では1ヶ月間の土日(約8日間)で近隣県、首都圏から約4,000人の方が収穫を楽しみに来訪するほどブランド大豆へのファンが多い。源泉館に宿泊される方にとって体の療養をしながらお客様自身で生育プロセスを経て、美味しい曙大豆を収穫することは身心共に元気になることにも繋がっていく。また、12月には脱粒して味噌作り体験に使用する。大豆は源泉で浸してから煮て、麹と塩を加え仕込む。そして蔵に保管して冬まで待つことで美味しい味噌になる。

お客様が源泉館を通じて身延町自体の魅力を理解していく。「身延に住む者としてこの町にしかない資源である曙大豆を大切にしながら、曙大豆の普及推進を進める身延町役場と旅館が一緒になって本当に良いもの・良い体験を提供していきたい」と願う女将 依田由有子さん。”お客様にとって本当に良いもの” ”源泉かけ流しの湯”という本物を代々、提供し続けてきた、ご主人であり58代 湯主兼館主の依田茂さんにとっても「曙大豆というブランド大豆がより広く認知・理解され、地域自体を活性化させることに繋げる”本物”の資源であることを信じて、町全体が一つの方向に向けて想いを強めていくことに取り組んでいきたい。それがお客様にとって最高の時間を過ごすことに繋がるようにしたい」と語る。その想いは徐々にお客様の心にも浸透し始めている。

休日コンサルタント

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休日はどちらかというと旅行やイベントなどよりも、日常的な休日時間の過ごし方を大切にしたい40代。好きなテレビは「あばれはっちゃく」

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