【農の世界】~大豆を身近な存在に~

ステイホーム・リモートワーク

すっかり聞きなれた言葉になってからもうすぐ一年が経ちますね。 みなさんの身の回りでは、どのような変化がありましたか。 働き方はもちろん、ご家庭での過ごし方・暮らし方が変わった方が多かったのでしょうか。 地方への移住や田舎暮らしを視野に入れたり、家庭菜園や農業を始めたりする人も増えたとか。 それぞれ足元を見つめ、“丁寧な暮らし”にフォーカスする方が増えてきた印象を受けます。 振り返ってみると、自身の生活はこのような比率に。 「家じかん:畑じかん:野外(遊び)のじかん:本読むじかん」 (コロナ前) 2:3:5:0 (コロナ後) 3:3:3:1 上記に述べたように私自身、全体的な比率は大きく変わりありませんが、自分を見つめる期間になっているのは確か。自身が携わっている、「農業」という分野で考えていくと、社会の働き方がリモートに変わっても、農作業がリモートになることはなく、時間が止まらない以上、日常の働き方は変わりません。 それより、畑で作業をしていると気象条件が気になったり、ココロの変動をより敏感に感じたり。自然の中に身を置くとコロナ渦の見つめ直し期間と合わせて、自分の直感がより研ぎ澄まされているような感覚になっていきます。

緊急事態宣言で、これまでと働き方や生活様式が変わっても、時間は止まらず、変わらず四季は訪れる。 植物や生き物たちだって、これまでと変わらず懸命に生きている。 秋冬の寒い間は、雑草なんかと同様に、動物たちは冬眠することが多く、虫なんかも少なくなりますが。 人間も冬眠期間があれば、頑張れるのかな…なんてふと思うことも。 冬眠まではいかずとも、静(OFF)と動(ON)にメリハリをつけて行動していきたいものですね。 さて、6月に種を蒔いてから、開花して、実をつけて、大豆の未成熟の作物として枝豆を収穫して、霜が降り始める前にすべての大豆の株を脱粒(乾燥させたサヤから粒を取り出す作業のこと)して、選粒作業に入った大粒で甘い“あけぼの大豆”。その後は、市場に出すために、大豆と向き合う日々で、一粒ひと粒目で見て確認しながら、良い粒と悪い粒に分けていきます。選別した大豆の袋詰めをして、一般の大豆よりじっくりと時間をかけて、ようやく本年度産の大豆のお披露目の時期がやってくるのです。

お店に並ぶ“乾燥大豆”って見たことがありますか

スーパーでは、水に戻して茹でてある“水煮”の状態の大豆をよく見かけると思います。 直売所で見かけることはあっても、スーパーや百貨店なんかで乾燥大豆を見かけることは少なくないですか? 大豆と言うと、“マメに働くように”と由来されたお正月で使用する黒豆や先日迎えた節分での煎り豆など、季節の行事に使用されることも多い製品です。 しかし、なぜ日常の買い物の中ではなかなか目に留まりにくいのか。 一言で言えば、乾燥大豆は“取り扱いが面倒だから”ではないかと思います。 一度作業を覚えてしまえば単純な乾物系は、基本は「水で戻して使うだけ」の万能製品です。

大豆の場合、二倍ほどに膨らめば戻った証で、その後使用していくことができます。 (あけぼの大豆は、粒が大きいため一晩水で戻します) 圧力鍋で20分~30分。普通の鍋で40~50分。 豆の大きさや種類によって調理時間の変動はありますが、煮豆にしたり、サラダに入れたり。 脂質やエネルギーを控えて、たんぱく質が摂れる大豆は、「畑のお肉」と呼ばれるように最近では“大豆ミート”として、お肉の変わりに使われている方も増えていると思います。

バリエーション豊富な大豆食品

枝豆から成熟した大豆は、納豆、きな粉、煎り豆、油揚げ、厚揚げ、高野豆腐、おから、湯葉、豆乳…等々。本当に様々な食材に変化していきます。 単に大豆を茹でて食卓に並べるだけでなく、昨今の発酵食品ブームにより茹でた大豆を味噌や醤油に変化させたり、少し手間をかけてヨーグルトを作ったり、水に戻した大豆を撹拌させて豆腐を作ったりなんてことも。 そのままの製品として、食卓に並ばせるもよし、おからを使って豆腐ハンバーグやおからナゲット、おからドーナツとして、アレンジ料理を楽しむもよし。一概に「大豆製品」と括ってしまうのは簡単ですが、その調理の幅は本当に広く、試し始めると凝っていってしまう可能性大です。

最近では、リモート・デスクワークが増え、ついついお菓子をつまんでしまう、なんてこと増えていませんか? そこで、煎り豆を使ったグラノーラやおからを使ったクッキーなど、小腹が空いた時にちょっと食べられるものをストックしておくと少しは罪悪感なく心とお腹を満たすことができるのではないでしょうか。 様々な栄養価を保有している大豆製品、日頃の食生活の中で意識して少しずつ取り入れていくことで、腸内環境を整え、心も身体も綺麗に整えていきたいものですね。

変化した自分のココロ

苦手だな、とずっと思って生きてきた豆類。 それが畑に携わり、土に触れて、種から大豆を育てるようになり、単に「美味しいよ」を伝えるだけでなく、少しずつ実体験として自分の想いを語れるようになってきました。「畑での時間が好きです」と今では自信を持って言葉にすることができます。 新たな生活様式として、社会が動き始めている今だからこそ、自分自身のやりたいことに蓋をせずトライアンドエラーを繰り返しながら。想いを持った者同士、互いを応援し合えるような。そんな循環がもっともっと浸透 していくと良いな、と思います。

新米生産者として、4回に分けて呟かせていただいた大豆のおはなしシリーズ。 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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