TRAVEL

手間暇かけて効率を追求する大豆づくり

山梨県南部に位置する身延町。古くから豆類の栽培が盛んな町。この町で生産される”あけぼの大豆”は生産量が少なく、入手困難で稀少性の高いことから”幻の大豆”と言われている。

稀少価値の高い大豆である一方で、生産者の高齢化により農家が減り、それに伴い、曙大豆の種子を生産する農家も減る中で、身延町曙地区の遠藤嘉一さんは、ブランド大豆としての”曙大豆”の種子が絶えることのないよう日々、取り組んでいる。また、身延町としても人口減少と後継者対策、”あけぼの大豆”のPRに向けて地域おこし協力隊を募集し新たな風を取り入れた施策を行っている。

曙大豆は、豆を縦に10個並べると6寸(約18㌢)あるため、「十六寸(とおろくすん)」とも呼ばれていたと伝えられている。粒の大きさは市場に出回る大豆と比較しても明らかだ。粒の大きさ、強い甘みの理由には、標高660㍍に位置する身延町曙地区の昼夜の寒暖差と適度な湿度、虫害の少なさ、小石が多く痩せた土地に要因がある。そのため他地域で栽培する大豆は、元々のサイズ・甘み・食味のものを生産することが出来ず、種子の生産は身延町曙地区でしかできない。限られた土地で限られた人により種子の生産が続けられている現実がある。

深刻な後継者不足の問題だが、身延町では、この稀少な種子を守るために、今年3月に発足した「身延町あけぼの大豆振興協議会」では、曙地区に試験ほ場を確保し、優良な種子の栽培事業に取り組んでいる。

「戦後の貧しい時代、弁当用の米がなかった時は大豆を食べた。また、農作業をする人がいなかったこともあり、牧草地にヤギを放ち、その土地で大豆を生産していた。」と、昔を振り返りながらも、標高の高い山で一人、日々、大豆の種子をつくり続ける遠藤さん。
あけぼの大豆の枝豆は10月に収穫をむかえ、出荷期間は約25日間。その間に枝豆の選別、洗浄、袋詰めにかかる人手が大きく、朝から夜中まで作業が続けられる。

この地と共に生きる、遠藤さんにとっては、あけぼの大豆は人生そのもの。決して、その種子を絶やすことは出来ない。その理由は「つくった種子で生産されるあけぼの大豆は、それを食べて”美味しい”という多くの消費者の笑顔で支えられている。だからこそ、手間暇かけてやる意味がある。」と、遠藤さんは言う。生産を通じて色々なことを経験してきたからこそ、自然との関わり方の中での生産方法を学び、考え、いかに効率よくできるかを追求してきた。想いを込めて世話をする意味では子供を育てていくようなものと遠藤さんは笑顔で話す。

数年前、種子を絶やさないため、後継者となるべく勤務先の金融会社を退職した息子の雄一さんが現在、サポートしている。種子づくりへの想い、日々、取り組む中で生まれる前向きな笑顔と受け継がれる強い志。そういったことが継承されている限り、曙大豆の種子はまだまだ途絶えることはない。

休日コンサルタント

投稿者の記事一覧

休日はどちらかというと旅行やイベントなどよりも、日常的な休日時間の過ごし方を大切にしたい40代。好きなテレビは「あばれはっちゃく」

関連記事

  1. いつかは地域活性化に携わることがしたかった!
  2. 特集:旅の多様性(埼玉県狭山市)
  3. 自然が大好き!だから無農薬
  4. ”お客様にとって本当に良いもの” とは?
  5. 時空を超えた大人の冒険島に行ってみた 1
  6. 特集:旅の多様性(茨城県石岡市)
  7. 時空を超えた大人の冒険島に行ってみた 3
  8. 美味しい味噌づくりの「想いの深さ」を知る

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ピックアップ記事

PAGE TOP