【ワークライフバランスを見直す】現代人こそ学ぶべき「ウチナータイム」

【ワークライフバランスを見直す】現代人こそ学ぶべき「ウチナータイム」

終身雇用の神話が崩壊し、非正規雇用や実力主義がスタンダードになってから久しい日本社会。昨今は不安定な世界情勢や、それに伴うスタグフレーションにより、日本に住む多くの方がいっそう厳しい現実に直面しています。

さて、今回ご紹介するのは、そんな厳しい現実を根底から覆すような価値観「ウチナータイム」についてのお話です。

そもそもウチナータイムとは?


ウチナータイムは沖縄県の言葉で、わかりやすく言い換えると「沖縄時間(ウチナー=沖縄、タイム=時間)」です。
沖縄には昔から独特の時間間隔があるといわれています。たとえば催し物が時刻通りに始まらなかったり、待ち合わせをしても時間通りに集合しなかったり──。
一般的にはこういった沖縄の県民性を「時間にルーズ」「いい加減」と見る節がありますが、実は沖縄にウチナータイムが根ざしたのには、沖縄には他の地域と異なり「鉄道インフラが整備されなかった(鉄道が必要なかった)」という背景が関係しているようです。
つまり緻密な電車のダイヤに合わせて生活する都市部と対称的に、沖縄県民はそもそも時間に拘束されるライフスタイルでないことに加え、特有の気候条件やもともとのおおらかな県民性が相まり、ウチナータイムという独特な文化が形成されたのです。

ウチナータイムの短所と長所

沖縄県外の人間がウチナータイムを目の当たりにして戸惑ったり困惑したりする事例は枚挙に暇がありません。
しかし、ウチナータイムには現代人をストレス社会の呪縛から解き放つヒントが隠されているようです。
本項では、ウチナータイムの短所と長所について解説します。

ウチナータイムの短所

ウチナータイムの短所は、現代的なビジネス感覚と相容れないところです。時間を守るというのは現代社会において最低限のビジネスマナーなので、時間にルーズな人は敬遠されるのが普通でしょう。
筆者の知人にも、沖縄から上京してきたものの、東京など本土の気質がどうにも肌に合わず、結局沖縄に帰ってしまった方が何名かいます。
東京のビジネススタイルをスタンダードとする日本社会において、ウチナータイムを採用できる局面があまりに少ないのが短所といえるでしょう。

ウチナータイムの長所

時間に追われながらあくせく生きることもなく、過度な責任やプレッシャーを負って胃を痛める必要もない価値観。これこそまさにウチナータイムの長所であり、現代人にもっとも必要な処方箋でもあります。
沖縄の方言に「なんくるないさ(なんとかなるさ)」という言葉があります。
さぼっても何とかなるという意味でなく、ベストを尽くしたならあとは天に委ねる──といったポジティブな文脈の言葉です。
すべてを自分で背負い込むのでなく、ある程度のことは運命として割り切る視点は、心にゆとりを持って生きるのに不可欠な考え方です。

現代人にウチナータイムが必要な理由

ウチナータイムがなぜ現代人に必要か。それは、社会情勢や長らく続く不景気などにより、個々が消耗しやすい状況に日本社会が陥っているからです。
企業のコンプライアンスが重視されるようになり、サービス残業やブラック労働は厳しく規制されるようになりました。しかし、かといって景気が回復するわけでも所得が上がるわけでもありません。日本経済はいまだ暗雲立ち込める長い道を歩んでおり、生きるため必死に働いている方が大勢います。
こういう状況下で今までの常識に則り必死にもがくほど、暮らしも心も消耗し切って追いつめられてしまうのは必至でしょう。昔と今で状況が変わったということは、この状況を乗り越えるために昔とは異なる方法が求められる局面に差し掛かっているということ。
時には「律儀に時間を守る」というごく当たり前の常識にさえ、疑いの目を向けてみる姿勢が必要かもしれません。

ワークライフバランスを見直すために常識を見直そう

今回は、沖縄県特有の価値観・文化である「ウチナータイム」を例に、常識に囚われる危険性についてお話ししました。
実は筆者は、インバウンド事業を通してベトナムの方々と触れ合ったことがあります。そして彼らのリアルな考え方やライフスタイルを知り、それこそ人生観が変わるほどのカルチャーショックを受けました。
沖縄のウチナータイムと併せ、ベトナムの方々の価値観や感性は、ワークライフバランスを最適化して現代を幸福に生きるために必要な「新しい常識」だと感じています。
我々に必要なのは、もしかすると高度に整備された社会ではなく、「社会人はこうあるべき」という思い込みと先入観を捨てる勇気なのかもしれません。

ウチナータイムのお話に引き続き、次回はベトナムの人々の常識をご紹介します。

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