寝だめは逆効果?休日の「睡眠リセット」が心と体に及ぼす意外な影響
寝だめは逆効果?休日の「睡眠リセット」が心と体に及ぼす意外な影響
現代の多忙な生活では、平日に陥りがちな睡眠不足を、休日の「寝だめ」で補っている方も多いのではないでしょうか。
一方で、「寝だめ」の習慣が心身の健康にどのような影響を与えるのか、十分に理解している人は少ないかもしれません。
今回は、睡眠研究の第一人者たちの知見をもとに、寝だめの影響と理想的な睡眠リズムの整え方について詳しく解説します。
休日に寝だめをしている方は本記事を参考に、ご自分のライフスタイルや睡眠リズムを今一度見直してみてください。
休日の寝だめは逆効果!睡眠とパフォーマンスの関係
休日はゆっくり寝て休息を取りたいと考えがちですが、研究者たちは寝だめによる悪影響を指摘しています。実際、睡眠リズムの乱れは日中のパフォーマンスや健康に深刻な影響を及ぼすことがわかっています。
寝だめがどのような影響を及ぼすのか、順に見ていきましょう。
睡眠リズムを整えてパフォーマンスが最大化
睡眠に関する研究の第一人者である柳沢正史氏の研究によると、質の高い睡眠が日中の集中力や幸福感に直結することがわかっています。
柳沢は、睡眠と覚醒を調整する「オレキシン」という脳内物質の発見者であり、「睡眠の質がパフォーマンスにどのように影響するか」というテーマに深く関わっています。
彼の研究から得られる教訓は、休日も睡眠リズムを整えることで体内時計を適切に保ち、日中の効率や気分を最適化するということ。同じ時間に起床・就寝するだけで、エネルギーの安定供給と日中のパフォーマンスの向上に期待できるというわけです。
参考サイト:MBSNEWS
寝だめによるコンディションの低下
スタンフォード大学の西野精治教授は、寝だめによって生活リズムが乱れる危険性を警告しています。西野教授によると、週末に長時間眠ると体内時計が崩れ、翌週の平日も朝起きづらくなるなどの悪循環に陥りやすくなるとのこと。
たとえば、休日に昼過ぎまで寝てしまうと、翌日の起床が辛くなり、さらに平日のリズムが乱れる原因に。このようなコンディションの乱れが継続すると、日中のパフォーマンスが低下し、やる気や集中力が削がれてしまう可能性が高まります。
参考サイト:GORTHE
寝だめによる深刻な健康リスク
西野教授らをはじめ、コロラド大学睡眠研究所のケネス・ライト所長の研究においても、平日の睡眠不足を週末の寝だめで補おうとする行為が、長期的な健康リスクを増大させる可能性が高いことがわかっています。
特に、睡眠不足が続くと血糖値のコントロールが乱れ、糖尿病や肥満などの慢性疾患のリスクが高まる危険が指摘されており、寝だめの健康リスクが明らかに。
一時的な休息感があったとしても、寝だめをするとかえって体内疲労が蓄積されてしまうのです。
参考サイト:CNN
睡眠から見る休日の理想的な過ごし方
心身の健康を守り、休日をより充実させるには、睡眠リズムを整えるのが鍵です。睡眠に関する最先端の研究をもとに、休日の理想的な過ごし方をご紹介します。
1.同じ時間に起床・就寝する
平日と休日で起床時間や就寝時間を、大きく変えないようにしましょう。体内時計が一定に保たれることで体調が整いやすくなるだけでなく、集中力や気分の安定にも期待できます。
2.朝日を浴びる
起床後はすぐに日光を浴びることで、覚醒物質が活性化され、気持ちがスッキリします。日光は体内時計を保つためにも必要な要素ですし、日中のエネルギーを高めるためにも重要なステップになります。
3.短時間の昼寝を取り入れる
どうしても睡眠時間が足りないと感じる場合は、短時間の昼寝を取り入れましょう。
昼寝を15~30分程度にとどめることで、夜間の睡眠リズムを崩さずに脳をリフレッシュできます。また、中途半端に長時間の昼寝をすると、心身ともにスッキリせずだるさが残る場合がありますが、短時間の睡眠だとスッキリ起きやすいので、午後のパフォーマンスも高まりやすい傾向があります。
短時間の昼寝は、睡眠リズムをキープするのに有効なだけでなく、午後のエネルギー補充にも効果的です。
寝だめをするなら生活習慣を見直そう
寝だめを完全に避けることが難しい場合は、平日の生活習慣を見直すことから始めてみましょう。質の良い睡眠を確保するには、就寝前に電子機器を使うのを控えたり、快適な寝具を導入したりといった工夫が効果的です。
また、休日に「寝だめ」で無理に睡眠不足を補うのでなく、毎日の生活で睡眠リズムを守ることも意識しましょう。
休日の過ごし方を見直し、睡眠リズムを整えることで、充実した時間とエネルギーに満ちた新しい一週間を迎えられるはずです。
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