フランス人のバカンスから学ぶ“休み方の再設計”

せっかくの休みなのに、逆に疲れた

そんな言葉をつい口にしてしまう日本人は、私だけではないはずだ。旅行の予定を詰め込み、SNSの投稿を気にして、ようやく帰ってきた頃にはヘトヘトになっている。
休暇なのに“タスク”になっている──。
そんな「休み疲れ」に、あなたも心当たりはないだろうか?日本人には「休暇=効率や予定で埋め尽くされるもの」が当たり前になっています。

今日は、フランス人のバカンス文化とその背景を紐解きつつ、“休み方のUX(体験価値)”を再設計するヒントを探してみましょう。

フランス人にとって、休みは“何かをしない”ことに意味がある

フランス人にとってバカンスとは、「人生の質を整える時間」。
1年に1度、数週間まるごと仕事から離れ、自然の中や田舎で「何もしない」を満喫する。
その背景にはフランスでは法定有給休暇が年間5週間(約30日)と長く、8月には多くの企業で休業になるほど、国を挙げて休む文化が整っていることがある。8月になると、会社ごと休業。行政機関も止まり、レストランもクローズ。つまり、社会全体が「休むリズム」に合わせて動いており、それ自体が習慣となっている。


それでも誰も困らない。なぜなら「皆が同時に休む社会のリズム」があるからだ。

これが日本との決定的な違いだ。
“迷惑をかけないように”こっそり有休を取る私たちと、“堂々と長期休暇”をとる彼ら。
そこには、休み方に対する社会の構造と価値観の違いがある。

バカンスと旅行は違う:「何もしない」が大切

フランス人は「旅行」と「バカンス」を明確に区別して考え、バカンスは“何もしない贅沢な空白”を楽しむ時間と捉えている。バカンスと旅行は、似て非なるもの。

旅行は、観光地をめぐる「アクティブな移動」。
バカンスは、予定も立てず、自然の中で心をほどく「静かな滞在」。

フランス人は、あえて不便な場所に行くこともあるという。
インターネットがつながらない田舎の一軒家で、ただ本を読んだり、昼寝をしたりする。それが“最高の贅沢”なのだ。

一方、日本人の休暇はどうか?
「せっかくの休みだから、何かしなきゃ」「攻めの休日をとらないといけない」「有名なビジネスパーソンのような休みを取ることがカッコいい」その“強迫観念”が、逆に自分を疲れさせていないだろうか。

日本の休み方UXが抱える問題

日本の祝日は年間15日と、数ではフランスを上回るものの、長期にまとまった休暇ではなく、ちょこちょこの休暇が多いため、思い切ったリセットができない。私が休日デザイン研究所を立ち上げた背景には、この「休みの不自由さ」がある。

  • 有給休暇はとれても、心が休まらない

  • 祝日が多いのに、休んだ気がしない

  • SNS映えを意識しすぎて「見せる休み」になっている

多くの人が旅行やイベントで予定を詰め込み、SNSへの投稿など「休日の見せ方」に気を取られ、本質的な休息につながらないUXになっている。その結果、休みが“消化タスク”となり、本来の目的である「心身の回復」や「創造性の再生」が阻害されています。つまり、休暇という制度はあっても、休み方の“UX(体験価値)”が低いのだ。これは、働き方の問題ではなく「休み方の設計」がされていないことに原因がある。

では、どう休みを“再設計”すればいいのか?

こでフランス人の休み方から学べることは、次の3点に整理できる。

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休暇は“再設計のチャンス”、「自分を再生する時間」である

カンスを取れている人を羨ましいと思っても、すぐに長期休暇を実現するのは難しいかもしれない。でも、「今の休み方」を問い直し、「意味ある時間」に変えていくことは、“今日からでもできる選択”である。

本当にあなたは、休んでいますか?
それとも、休みを「こなして」いませんか?
予定でいっぱいの連休、帰ってから逆に疲れた経験はありませんか?
あなたにとっての「最高に回復できる休み」は何ですか?
その時間を設計するなら、何を捨て、何を残しますか?

予定を詰め込みすぎていないか?
休み明けにむしろ疲れていないか?あなたにとって「回復」や「創造性」が生まれる時間とは?
自己理解による休み方の棚卸し、組織として“安心して休める体制”の構築、KPIや社内指標の質的進化は個人及び企業として取組むことでもある。
「休むこと」は、“消費・浪費ではなく、自分への投資”であることを理解することが大事。

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