-シリーズ “休日ビジネス”- 北海道を訪れる観光客数の出し方は?観光の休日デザイン方程式

観光地の需要予測

春、夏休みや秋の観光シーズン、お正月など国内旅行の需要が高まるシーズンになると現地の宿泊施設は「今年はどれくらいの人が宿泊しに来るのか?」ということから需要予測をしたりします。
もちろん、楽天やじゃらんなどからの宿泊予約で施設自体の宿泊者数を把握しますが、そもそも地域としてどれくらいの人が来るのか?を自治体側が予測できていると、地域内の宿泊施設を含む観光施設は需要に合わせたサービス提供量や内容を考えることができたりします。

自治体プロモーションの狙い

各自治体は年間、いろいろなプロモーションを行って地域への誘客を図りますよね。東京ビッグサイトで9月に開催されるツーリズムEXPOでは、全国各地の自治体がしのぎを削ってブース出展による宣伝をします。大手百貨店では、北海道物産展や沖縄物産展など食や工芸品の購買を軸にした観光誘致を図ったりします。色々な側面から地域資源を訴求するわけなので、気づきを通じて興味を持った人は「機会があったら行ってみようかな」と候補リストに載せていきますね。

観光における需要と供給

星野リゾート 星野社長の話を聞いた時に全国の宿泊施設は365日のうち黒字は100日で、残りの265日は赤字だと一般に言われています。つまり、需要のある夏休み、秋の旅行シーズンは宿泊料金を値上げして、スタッフを補充し、売上の7割をこの時期で稼ぎますが、極端な話で言えば、それ以外は宿泊者数が少ないためスタッフも少なければ提供サービスの質も下がるということ。なんだかちょっと残念ですが…。
そのため、冒頭に記載したように地域の自治体は年間でどれくらいの来訪者数があるのか把握することで傾向と対策をする必要があります。

北海道の年間来訪者数は?

考え方

●メインに使われる交通手段=飛行機
●北海道行きの航空便数と便あたりの旅客数は?
●来訪者と北海道居住者で飛行機に乗る割合は?

数式
航空機の便数×便あたりの旅客数×来道者比率 の計算が必要になりますね。

羽田〜札幌(新千歳)に向けて1時間3便と仮定すれば、AM6時〜PM21時まで45便/日が札幌に飛ぶと想定できます。
それに加えて、大阪、名古屋、福岡などの他都市から合計して、羽田発と同じくらい飛ぶとすれば90便/日。
旭川、帯広、函館などにも、札幌行きの約4割が飛んでいるとすれば、130便/日が北海道に向けて飛んでいるということになりますね。

便あたりの旅客数が250人、その半分が来道者(半分が北海道在住者)と仮定した場合、上記の式より年間の来道者数は600万人と推定されます。
※実際は航空機の国内線が年間1050万人なのに対して、鉄道が220万人、フェリーが100万人、外国人観光客が60万人前後とすれば、北海道の公式報告の487万人〜703万人(2012年くらいの数値)におさまりますね。

こうやって来訪者数が分かると、いわゆる経済効果というものが分かってきます。
全国各地の地方創生が話題になる今、全体俯瞰による定量化と消費者行動がデータで紐づくと、もっと色々と面白い休日デザインにつながるのかもしれませんね。

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