日本とは違う?緊急事態宣言下における台湾のライフスタイル

休日の多様性

台湾は昨年1月の新型コロナウィルス発生当初よりいち早く水際対策と国内感染の拡大防止に取り組んできました。その努力が功を奏し、アジアで最も安全な国として賞賛を浴びていました。しかし今年に入って、幾度か脅威に襲われました。大きい総合病院でのクラスター感染、そしてとある大手航空会社の感染していた外国籍パイロットの台北市内観光発覚で感染拡大が危ぶまれていましたが、幸い両方とも大事に至らず治まりました。
しかしその後、更なる脅威が台湾を襲うことになります。5月に入り、別の大手航空会社の貨物機パイロット6名はアラスカとヨーロッパで感染され、本人たちは自分が感染したと分かるまで自分が住む街や色々な場所に出入りしたため、台湾は5月中旬よりは他の国と同じように感染が急速に広がりました。
5月28日まで予定されていた2週間の緊急事態 (警戒) は6月の中旬までに延長、その後更に二週間延長。6月下旬になって、7月12日まで緊急事態を延長と発表。その後7月13日から緊急事態解除 (解封) 予定日の7月26日 までは緊急事態を少しだけ緩和したプチ緊急事態 (微解封) というのが台湾の現状です 。

この延期に延期を重ねた緊急事態でなされた対策としては、レストラン、食堂、夜市の店問わず、すべての飲食店は持ち帰りのみ。また、どんな店舗や施設へ入るにもQRコードのスキャンが義務付けられて、もし感染が確認された時、過去に出入りした場所を特定するのに役立っています。スマホの無い人は店舗で用意された小さい紙に名前と電話番号を記入して店員に渡すようになっています。もちろん、コンビニ内のくつろぎ空間も封鎖され、トイレも緊急事態期間中は使用できなくなっています。


また、コンビニや各飲食店で購入した食べ物と飲み物も歩きながら食すことが禁じられています。映画館、スポーツジム、カラオケ、バー、ナイトクラブやキャバクラなどの娯楽施設、そして台湾名物足裏マッサージ店や観光地も、緊急事態期間中は営業停止を要請されています。因みに、すべての飲食店では持ち帰りのみになったため、以前別の文章で触れたデリバリーサービスの利用者数増加に繋がっています。
台湾の大多数の人達は緊急事態発表の時から自主的に自粛に入り、5月15日に緊急事態宣言が発表されその夕方より、繁華街ではほとんどの店舗が営業を止め、市民一丸となって協力的な態度を見せています。SNSやインターネットを通じて「同島一命」という皆一団となって自粛への協力を呼び掛けるスローガンも掲げられました。六月中旬の端午節三連休が始まる前も、他県への移動を控えるよう、という呼びかけは政府のみならず、民間からも。「端午節三連休に田舎へ帰っておじいちゃん、おばあちゃんの免疫力を試すようなことはしないように」という少々ブラックユーモア漂わせる呼びかけもSNSで見かけられました。

今回の緊急事態で台湾は初めてほかの国が体験してきたコロナ禍を目の当たりにして、当初はやはり焦りが隠せませんでした。スーパーでは生活用品や食材の品切れもありましたが、幸いそれは一時的なもので暫くして落ち着きを取り戻しました。学校や会社が取った処置としては、高校以下は休校、大学の授業はオンラインに切り替えられ、そして会社勤務もリモートワークに切り替えた所が多かったです。
よって、朝の通勤ラッシュと夕方の帰宅時では、街中の交通量はいつもの半分か、半分にも満たない。それ以外の時間帯はMRT (市内を走る電車) とバスは乗客が疎らの日が数週間も続きました。六月の下旬に入ってからは徐々に公共の交通機関を利用する人が増え始めました。


しかし、出かけたいというのが人間の心理であります。6月下旬に出された、「7月13日から解除予定日の7月26日までは微解除」という発表が出されてからは、ずっと我慢してきて抑えていた出かけたい願望が爆発した人も多く、大型量販店コストコや漁港、絶景で有名な山、または知る人ぞ知る人気の少ないビーチへ出掛ける人も見受けられました。緊急事態期間中客足が遠のいていた百貨店、モールやショップにも多くはないがお客さんの姿が。緊急事態から少々緩くなるプチ微緊急事態に切り替わる7月13日を数日後に控えた週末では、出かける人が増え、街中の交通量が著しく増えました。

やはりずっと我慢していた故、気疲れからの弛みと見受けられます。7月13日に緊急事態が緩和された後の最初の週末は公共交通機関を利用する人は思ったほど多くもなく、台北市内の交通量も少な目でした。その代わり、多くの人が他県を訪れた模様です。他県でもプチ緊急事態期間中は人数の制限があって、皆さんはいつもの国内旅行みたいに満喫できないものの、5月中旬から2か月続いた緊急事態から少々解放され、遠出ができる喜び、そして眺めの良いホテルや民宿に宿泊できるという嬉しい気持ちで溢れていたと感じられます。また、遠出はしたくないが、週末は家を離れて市内のホテルに宿泊という人たちもいました。

緊急事態宣言発表がされてからは1日に600人以上も感染者が出た日もありましたが、2週間の延期を3回重ねたのち、7月13日のプチ緊急事態に入ってからは、1日の感染者数が20人以下の日が続いています。感染者は台北市、新北市 (旧台北県)、そして桃園市の三か所に集中しています。ほかの県と市はようやくほっとしているのでは? 残りのプチ緊急事態 (微解封) の日々は弛まずに、予定通りに7月26日の緊急事態解除を期待するばかりです。

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