休日デザインの人|100%杉からつくる!地域の香り漂う水車による杉線香づくり
水車を使った線香屋 駒村清明堂
創業1907年明治時代から100年以上続く線香屋 駒村清明堂。水が豊かな石岡市八郷地区で、筑波山の渓流(恋瀬川の源流)を利用して水車を回し、地元の杉を使った線香作りをしています。
杉100%の杉線香
五代目の当主、駒村道廣さんがつくる杉線香は杉100%で混ざりけがない。水車で動く杵が原料の杉の葉をつくたびに、爽やかな香りが漂ってくる。機械なら早く大量に粉にできるが、じっくり搗く(つく)ことで、杉の葉が熱をもつことなく良い香りが残ります。また、水車で丁寧に搗くことで、一本のお線香にする際、断面ができるだけ粗くならずくっつきやすくもなります。そのため、約二日かけて、ゆっくりと搗いていく。
不純物ゼロの線香
篩(ふるい)にかけて細かくした杉の葉の粉を、お湯で練りあげていくと、杉に含まれるヤニがつなぎになり、自然と固まってきます。その練り加減が難しく、原料の質やその日の天候により、粘りも香りも微妙に変わる。杉線香の香りというのは、原料に何かを混ぜたり加えたりして、“つくれる”ものでない。この地にある自然の杉を使う良さ、水車を使い続ける理由がそこにはあります。
杉の葉の調達から
杉線香づくりは秋から冬にかけて原料の杉の葉を調達するところから始まります。その後、ゆっくり乾燥させ春に乾いた葉を取り、水車で搗いていく。あまり樹齢の若い杉ではなく、樹齢50年以上の杉が最適だといいます。昔から近隣の山では、香り、粘りともお線香に最適の杉が採れたが、最近は伐採、植林が少なく原料調達が難しくなってきています。水車や水路をつくる材木も地元で手に入れるのが難しくなりつつあります。
製造から販売まで
駒村清明堂では製造から販売までこなす。直接、お客様の声に耳を傾ける機会をつくることで、その嗜好性を捉え、伝統的な作り方を踏襲しながら時代のニーズに合わせた着色なども施してきました。
地域の香り
その地域には地域特有の香りがあります。石岡市八郷地区の香り、日本になじむ線香の香り。その香りを紡ぐのは人以外にいません。石岡に住む人の温かさ、人のつながり、流れる時間、香り。駒村さんは、休日に行われるマラソンやトレイルランなどのスポーツボランティアへの参加から人と直接、接する機会をつくる中でこの地の良さを再認識するといいます。この地にいると「日本の良さが残っていること」に気づかされることがあります。地域の自然を活用した杉線香作りは、大量生産、大量消費ではなく非合理的な側面もあるかもしれません。それは逆に、ものづくりに携わる以上、自分にしかできない、自分にならできる仕事をしていくことに意味を持つことでもあります。その強い意志を常に抱きながら、駒村さんだけの杉線香づくりを今に伝えています。
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