コロナ封じ込みと台湾の宅配代行ビジネスの今

休日の多様性

foodpanda and UberEats, the competition is becoming intense in Taiwan ~宅配サービスの熾烈な争い in 台湾~

前回の文章でも台湾は新型コロナウィルスの影響で配達代行サービスを利用する人が増えたと触れました。日本と同じように有名人を起用したUber Eatsのコマーシャル「今夜、私がいただくのは」がありますが、台湾では今年の九月に日本上陸したドイツ発の配達代行サービスfoodpandaを利用する人のほうが多いです。Uber Eatsより早く台湾の配達代行市場に入ってきたというのもあって、Uber Eatsは伸び悩んでいるのが見受けられます。また、foodpandaは離島の澎湖と金門も含め台湾ほぼ全土でサービスを行っており、Uber Eatsはまだそれほどサービス区域を広げていない状態です。

日本と交通事情が違うので、自転車での配達ではなくスクーターでの配達がほとんどで、自転車で配達する人はまれに見かけるぐらいです。筆者も暇な時間を利用して、バイト感覚でUber Eatsの配達バイトを始めようと思いましたが、登録したものの実際に配達を始めることなくfoodpanda登録して、配達員のアルバイトをしております。

Behind the scenes of home delivery ~提供サービスの裏側にあるもの~

最初にUber Eatsで配達員を始めようと思ったのは、foodpandaと違い制服がなく、しかもアプリで申請したのちデリバリーリュックが届られたらすぐに始められるという単純な理由でした。ですが、いざアプリで申請してみると手際の悪さと融通の悪さが目について嫌気が差した始末。しかも窓口があるオフィスの電話番号はホームページに記載されてなく、公式LINEを通して連絡を取るという風に連絡手段が限られています。筆者は申請する際の初期設定で手違いが生じ、自転車でのデリバリーになってしまったため、アプリ上で申請の際どういうトラブルがあったかをまず記入してからヘルプの電話がかかってくるのを待つしかありませんでした。そのヘルプの電話というのは中国で設けられたコールセンターからの電話で、マニュアル通りの回答しか得られず、全く役に立ちませんでした。

更に、スクーターを運転する際に必要とされる賠償責任保険のコピーをアプリにアップロードしてみると、一か月後に期限切れなので「無効」と申請を却下される。新しい賠償責任保険のコピーをアップすると今度は有効な賠償責任保険を用意してくださいと言われ、再度却下。人間ではなく機械とのやり取りで融通が一切効きませんでした。筆者が登録した今年七月の時は台北市内のUber Eatsオフィスは問い合わせに対応しておらず、九月現在はデリバリーリュックはアプリで申し込むほか、オフィスへ取りに行けるようになりました。やはり融通の悪さに苛立った人たちの声が届いたからでしょうか?アプリとウェブサイトといった人工的な物でしか会社側と連絡が取れず、オフィスを設ける意味、目的が今一つ分からないという声は筆者だけでなく、ブログで不満の声をこぼす配達代行経験者からも見受けられます。

Important points as home delivery ~宅配サービスで重要な観点~

その一方で、foodpandaは公式LINEアカウントとオフィスの両方で配達員に必要な装備やサポートを提供しているように感じます。Uber Eatsは配達員を提携する「個人企業主」として見ており、損害保険は自分で用意する物、というスタンス。foodpandaは配達員に損害保険を提供しています。筆者の知っている限り、配達員たちのほとんどは会社の損害保険以外にも自分で損害保険を買っています。

筆者は台北にあるfoodpandaのオフィスへ出向かい、オリエンテーションと交通ルール知識のテストを受け、その場でアプリ操作を係員から教わり登録を済ませることが出来ました。そしてその場でデリバリーリュック、制服とコーヒーやタピオカミルクを置くカップフォルダーの一式を購入して晴れてデリバリー配達員になりました。

やはりドイツの会社だからか、Uber Eatsのようなアプリでの申請だけで登録が済むというやり方と比べたら、物事を進み方はより慎重で配達員になりたい人は必ずオリエンテーションへの出席が求められています。オリエンテーションではなぜ配達員をやりたいか、そして配達員の心構えなどが訊かれ、面接の要素も含んでいました。制服着用はブランドのイメージを消費者の間に定着されるためというブランディング戦略だと見受けられます。更にオフィスにはデリバリーボックスに貼る、コラボしているビールメーカー、食品メーカーやLCC航空会社のキャンペーン用の限定版のポスターが用意され、新しいポスターが出来た時は公式LINEアカウントで告知され、もらいに行った配達員にはインセンティブが入るようになっています。
こういった策でfoodpandaは配達員のモチベーションを上げています。筆者が配達代行を始めた七月の時は、決められた配達の回数をこなしたらデリバリーリュックと制服の費用のキャッシュバックキャンペーンがありました。

そして、こなしたデリバリーの回数でたまったポイントでしか手に入らないfoodpandaのロゴ入りのデリバリーバッグやヘルメットがあり、お金を出しても買えない貴重なアイテムを手に入れようと、デリバリーを頑張る配達員もいます。

やはり配達員の中には脱サラや収入を増やしたい若者だけでなく新型コロナウィルスの影響で職を失った人や収入が減った人も多く見受けられます。今街中を走っていても、foodpanda配達員とUber Eats配達員の比率は3:1といった感じです。

Uber Eatsは配達員が好きな時間に配達を始め、好きな時間に上がるということができますが、foodpandaの配達員はアプリで入りたいシフトを選んで、そのシフトを全うするというやり方です。もちろんシフト内に休憩を取ることもできます。早めに上がりたい時はアプリでヘルプセンターに報告してから上がります。

Through this experience ~配達代行サービスを実践してみて~

新型コロナウィルスでデリバリーサービスを利用する人たちは日々増えている傾向にあり、ますます需要が高まって、配達代行ビジネスの成熟に伴い配達員の需要も増える一方。消費者と配達員の両方にとってwin winの状況になっています。

また、今まで知らなかった区域や古い建物が多い区域を、配達を通して回り新しく台北を発見できたのも筆者にとっては思いもよらない収穫となりました。

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