地球の裏側から ~ブラジル在住アラサー女子からみた日本 Part 1 ~

休日の多様性

第1回:ブラジルのお手伝いさん文化から学ぶ、「頼る」家事のススメ

はじめまして、松田衣里菜(えりな)と申します!私は日本のちょうど裏側、ブラジルはリオデジャネイロに住むアラサー女子です。ブラジルはカーニバルやサッカーなど多くの日本人のイメージ通り人々が陽気でとても素敵な国なのですが、今まで日本でしか暮らしたことのない私にとっては、言語はもちろんのこと、知らない文化や驚くべき習慣が盛りだくさん!こちらでは、アラサー女子の視点でブラジルの生活や日本との違いについて素直にお伝えできればと思っています。

ブラジルでは当たり前!一家に1人は「お手伝いさん」!

ブラジルは奴隷制度の名残もあって世界の中でも貧富の差が大きく、貧困率は世界3位となっており、ほぼすべての州にファベーラと呼ばれる貧民街があります。私の住んでいるリオデジャネイロのファベーラはブラジル国内でも最も有名で、カリオカ(リオ出身の人々のこと)の実に4人に1人がファベーラに住んでいると言われています。

そんな貧困層が多い国ブラジルで私が生活する上で最も驚いたことは、ブラジルの中流階級以上の家庭には必ずと言っていいほど「ファシネイラ」と呼ばれる、主に掃除をしてくれるお手伝いさんがいることです!日本ではお手伝いさんがいる家庭というと相当な富裕層で、一般家庭では家事は自分たちでするのが当たり前ですよね。

しかし、ブラジルでは掃除、洗濯、洗い物に始まり、契約内容によっては料理やアイロンがけ、ベビーシッター(ブラジルでは”BABÁ=ババ”と呼ばれています)の役割までお手伝いさんがやってくれるのが当たり前。

ブラジルでは女性管理職の割合が日本の約3倍となっており、女性も男性と対等に働いている共働きの家庭が多いというのも一つの要因かもしれませんが、空いた時間を夫婦だけで過ごしたり、趣味に費やすことも多いそうです。日系人の知人に聞いてみたところ、「ブラジル人はお掃除が嫌いな人が多いからね!他人に任せてしまうの!」なんて答えも返ってきました。

ちなみに、ブラジルでは犬のお散歩をしてくれる「お散歩屋さん」なるものも存在しています。ブラジルは家も広く海も近いので大型犬が特に人気な様で、大型犬をたくさん連れてお散歩しているお散歩屋さんをよく見かけます。

貧困層に雇用をもたらすブラジルの「お手伝いさん文化」

このお手伝いさんやお散歩屋さんには貧困層の人々が従事していることが多く、よってこれは貧困層に雇用をもたらしていることにもなるわけです。貧困層の人々は識字率が低い為雇用先が限られており、このような読み書きが殆ど必要のない仕事に就けるということは恵まれていることなのかもしれません。

しかし、日本人としては「人を使う」という文化に馴染めないのが正直なところ。私が現在住んでいる家はサービスアパートメント(家具や食器、清掃サービスがついている長期滞在者用の物件)なので、希望すれば毎日でも清掃が入ってくれるのですが、なんだか申し訳なくて週の半分以上は自分で掃除をしてしまう、THE日本人の私です。

働き者の日本人も、もう少し肩の力を抜いて家事をしてみませんか?

そんな少々複雑な気持ちを抱えながらブラジル生活をしている私ですが、日本でもブラジルのように手軽に家事代行やベビーシッターを頼めるようになれば良いなと思うことも多々あります。私のようにドメスティックな日本人は、やはり家事や育児を人に頼ることに少なからず抵抗がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?私自身、日本にいた頃には他人に家事をしてもらうということは全くもって考えられませんでした。

しかし、こちらに来てすぐは、言語に対する不安、仕事から離れる不安、家族や友人がいない中で生活することの不安、、、不安だらけで体調がすぐれない日々が続く中、他人に少し家事をしてもらうだけで肉体的にも精神的にも余裕ができ、前向きに語学を勉強したり、今ではこうして記事を書く時間も出来るようになりました。

日本でも共働きの家庭が増えた今、家事や育児の負担は昔以上に増えていますよね。共働きの家庭はもちろん、専業主婦の方々も自分の心身の健康の為にたまには他人に頼ることがあっても良いのではないかと思います。

日本でもコロナ禍によりデリバリーサービスが急激に普及し、最近では家事代行サービスや、食材の宅配サービスも普及してきていますから、ブラジル人のように頼れるものは頼る、お金で解決できることは解決する、それによって得た時間を夫婦の時間や趣味に使って健康に過ごす、そんな肩の力を抜いた考え方も悪くないのではないでしょうか?

この記事が、皆さんが少しでもブラジルという国に興味を持つきっかけ、日常の時間の過ごし方を考えるきっかけになったら嬉しいです。それでは、また更新します。


【参考】主要統計 – OECD/ ブラジルの貧困・格差 統計データ – Global Note /総務省統計局 世界の統計2020

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